十途一集のスコアノート − Epilogue
最後の戦いを終え、塔の頂上に足を踏み入れる。
階段の先にある扉を開けると、小さな部屋の中にこぎれいな白と黒の装飾が施された宝箱があった。
宝箱を開けると、中に入っていたのは1冊のノート。
表紙はかなり古ぼけているが、何か不思議な雰囲気が感じられる。
ノートを手に取り、1ページずつめくってみる。
中心に大きな十字が置かれたページ。
プリズムのように輝くページ。
桃色に縁取られたハートのページ。
七色の夢が溢れ出すページ。
新たな気風が感じられるページ。
熱気がこもる闘いのページ。
協力する人間達が描かれたページ。
書かれている文字は理解できなかったが、それぞれのページから個性と熱意が伝わってくる。
宝箱には、他に1枚のメモが入っていた。
「十途」は、ここに至る十年の歴史。
「一集」は、ここに創られる新たな1ページ。
一つの新たな歴史を、このノートに刻もう。
ふと持っていた紙の切れ端を見ると、真っ白だった紙にびっしりと文字が書かれている。
ノートに目をやると、同じものがノートにも記されていた。
このページは島の冒険の中で記されたもの、ということなのだろうか。
以降のページは白紙のようだ。
これから創られていく歴史、ということだろう。
これらのページはとても新しく、無限の可能性を感じさせる。
ノートを閉じると、それは少し光を放ち、手の中に納まった。
……
気が付くと、塔の外にいた。
右手には、塔の頂上で見つけたノートが握られている。
『十途一集のスコアノート』
このノートが示すものは、十年の歴史と、現在の冒険、そして未来。
ここに辿り着く過程の先に今があり、その先に新たな道がある。
その道を創る可能性は、一人一人が平等に持っている。
塔を後ろ目に見ながら、そんな思いを巡らせる。
冒険は、次の舞台へ――